「発注時に聞いていた金額より報酬が減らされた」「納品したのに受け取りを拒否された」――こうしたことが起きたとき、それが単なる交渉ではなく、フリーランス新法が禁止する行為に当たる可能性があります。この記事では、法律で定められた禁止行為を一覧で整理し、該当するかもしれないと感じたときにできることをまとめます。
禁止行為の対象になる取引
フリーランス新法の禁止行為の規定は、業務委託の期間が1か月以上続く取引が対象です(1か月未満の単発の仕事は、明示義務など他の規定は適用されますが、禁止行為の規定の対象外です)。発注事業者(特定業務委託事業者)は、フリーランス側に落ち度がないのに、次のような行為を行うことが禁止されています。
7つの禁止行為
| 禁止行為 | 内容の例 |
|---|---|
| 受領拒否 | 発注した物品・情報成果物の受け取りを、フリーランス側に責任がないのに拒む |
| 報酬の減額 | あらかじめ定めた報酬額を、発注後に一方的に減らす |
| 返品 | 受け取った成果物を、フリーランス側に責任がないのに返品する |
| 買いたたき | 通常の相場より著しく低い報酬額を、一方的に定める |
| 購入・利用強制 | 発注事業者が指定する物品の購入やサービスの利用を強制する |
| 不当な経済上の利益の提供要請 | 金銭・労務の提供などを、フリーランス側の利益を不当に害する形で要請する |
| 不当な役務内容の変更・やり直し | フリーランス側に責任がないのに、内容変更ややり直しをさせ、費用を負担させない |
いずれも「フリーランス側に責任がないのに」発注事業者の都合だけで行われる点が共通しています。逆に、成果物に明らかな不備があるなど、フリーランス側に責任がある場合の減額・返品はこの規定の対象外です。
該当するかもしれないと感じたときにできること
- 発注時の条件を記録から確認する――契約書・取引条件明示書・メールやチャットのやり取りなど、当初合意していた金額・納期・仕様を確認します。
- 減額・変更の理由を書面やメールで確認する――口頭だけで済ませず、記録に残る形で理由を尋ねておくと、後からの整理がしやすくなります。
- 一人で抱え込まず相談窓口を使う――「フリーランス・トラブル110番」や公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口では、個別の状況を踏まえた相談ができます。
そもそもの取引条件が最初から書面で明示されていたかどうかも、後から確認する際の重要な手がかりになります。取引条件明示書がもらえていない場合の対処法は、以下の記事でも解説しています。
報酬が減額・遅延して資金繰りが不安なとき
報酬の減額や支払いの遅れは、相談や交渉に時間がかかることもあり、その間の資金繰りが不安になりがちです。請求済みの報酬を早めに現金化できるサービスを、いざというときの選択肢として知っておくと安心です。
手数料がかかるため毎回使うものではありませんが、報酬トラブルで入金が読めないときの一時的な資金繰り対策として選択肢に入れておくとよいでしょう。
まとめ
フリーランス新法では、買いたたきや一方的な報酬の減額など7つの行為が禁止されています。「おかしい」と感じたら、まず当初の合意内容を記録から確認し、必要であれば相談窓口を活用してください。支払期日そのものの考え方は「報酬は60日以内に支払う」ルールとは?、督促の文例は支払い督促メールの書き方・文例でも解説しています。