独立して案件を受けるようになると、多くの人が悩むのが「単価をいくらにするか」です。安く設定しすぎると生活が成り立たず、逆に相場感がないまま高く見積もると案件が決まりません。この記事では、単価を考えるときに確認しておきたいコスト構造と、目標年収から逆算する計算例、相場が分からないときの選択肢を整理します。
1. 単価を決める前に確認しておきたいコスト
会社員時代の月給や時給をそのまま単価の基準にすると、独立後に発生する次のような負担が抜け落ちがちです。
- 社会保険料: 国民健康保険・国民年金は全額自己負担になる(会社員時代は会社と折半)。詳細は社会保険・年金の切り替え手続きで整理しています
- 稼働できない日: 営業活動、事務作業(見積書・請求書の作成、確定申告の準備)、体調不良時の休みなどは、会社員時代の有給休暇のような補償がない
- 設備・経費: PCやソフトウェア、通信費、必要に応じた保険料など、これまで会社が負担していた費用
これらを踏まえずに「会社員時代の月給÷稼働時間」で単価を決めると、想定より手取りが少なくなりやすい点に注意が必要です。
2. 単価の計算例(目標年収から逆算する考え方)
一つの考え方として、目標年収に社会保険料や稼働できない日の分を上乗せしたうえで、実際に稼働できる日数で割る方法があります。以下はあくまで一例です。
| 項目 | 設定例 |
|---|---|
| 目標年収 | 500万円 |
| 社会保険料・経費などの上乗せ(目安1.5倍) | 750万円(目標売上) |
| 年間の実働日数(営業・事務作業・休みを除く) | 200日 |
| 1日あたりの単価目安 | 750万円 ÷ 200日 = 37,500円 |
上乗せの倍率や実働日数は、職種・居住地・家族構成によって大きく変わります。この表はあくまで考え方の一例であり、実際に計算する際はご自身の支出や稼働実績に置き換えて試算してください。
3. 相場が分からない・交渉が難しいときの選択肢
自分で相場を調べる方法としては、同職種のフリーランスの発信を参考にする、クラウドソーシングの募集案件の単価帯を見る、といったやり方があります。それでも相場感がつかみにくい場合や、単価交渉を自分で行うのが不安な場合は、経験や希望条件に合う案件を紹介してくれるエージェントに相談する方法もあります。
なお、発注事業者側が1か月以上の業務委託で著しく低い報酬額を一方的に定める「買いたたき」は、フリーランス新法により禁止されています[1]。提示された単価に納得できない場合、まずは自分で計算した根拠をもとに交渉してみる価値があります。
4. 決まった単価は見積書・請求書で明確に残す
単価が決まったら、契約前に見積書で金額の範囲を明確にし、稼働後は請求書で正確に請求することがトラブル防止につながります。書き方は個人事業主の見積書の書き方、個人事業主の請求書の書き方で整理しています。
まとめ
単価は会社員時代の月給をそのまま参考にするのではなく、社会保険料・稼働できない日・経費を踏まえて逆算するのが基本です。相場が分からず交渉に不安がある場合は、エージェントへの相談も選択肢のひとつです。決まった単価は見積書・請求書で明確に残し、独立直後にやっておきたい手続き全般はフリーランスとして独立するときにやることもあわせてご確認ください。
出典(一次資料)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号)第5条(禁止行為)・施行令第1条 — e-Gov 法令検索
本文の説明は上記の条文を分かりやすく言い換えたものです。制度は改正されることがあるため、最終的な判断は原文をご確認ください(参照日: 2026-09-25)。